第4回 西の正倉院みさと文学賞 佳作『姫さま、家を出る』ができるまで。

第4回西の正倉院みさと文学賞佳作『姫さま、家を出る』ができるまで。 日記
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マスター
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大変「いまさら」な記事で恐縮です。
途中まで書いて、長編執筆に忙殺されておりました。
第6回に挑戦される方など、参考になれば幸いです。

こんばんは。3回連続で佳作をいただいて、さすがにちょっと気まずさを覚えた松田です。
(でも第6回はまた挑戦するつもり)

とはいえ主催者の皆さま、審査員の先生方、応援してくださっている読者の皆さまには、本当に頭があがりません。公平な評価と発表の場に、深く感謝を申し上げます。

さて。今日は拙作についての裏話を書きたいと思います。

禎嘉王の娘

第4回への応募を心に決めたとき、まず考えたのは「誰を主人公にしようか」ということでした。

『人ひとり』では、古代の神門を舞台に、百済の禎嘉王を。
『Lovely Place』では、ほぼ現代の美郷町を舞台に、中学生の女の子を。

百済王伝説まわりなら、書きたいエピソードはたくさんあります。
でも、賞に応募するのなら『人ひとり』と繋がるような話は避けるべきではないのか……
それに正直、温めているネタはもっと他の機会に、まとめて発表したい……(いつか、ですよ。いつか)

そこで頭に浮かんだのが、西の正倉院を訪ねた際に知った、姫の存在でした。

「禎嘉王の娘なら、まだ誰も書いていないようだし、同じ女性として書く意義もあるんじゃない?」

残念ながら姫の名前がわからなかったため、「那智」という名は私の創作です。
福智王、華智王とあわせ「○智」というのはすぐに決まりました。では、「那」の字はどこから来たのか? ちょっとまとめてみましょう。

  1. 元々「那智」という字面に好感を持っていた。
  2. 占いの才能があるという、物語上の設定にあっている。

学生のころ好きだったラノベで「那智」というキャラがいまして。もちろん和歌山の「那智の滝」も知っていたので、読者も覚えやすいだろうと第一候補に。

で、「那」ってどんな意味よ? と考えたときに、たしか「あそこ」「あれ」とかいう意味があったと思い出したんですね。「遠くのことを知る、巫女の名前にはぴったりなんじゃないの」と決めました。

ただ後日、Twitterで那智の名前の由来をつぶやこうとした際に漢和辞典を引いたところ、なぜか「あそこ」の意味が出てこないという困ったことに。(だからTwitterでは言及していない)

でもね、たしかにそんな記憶があるんですよ。
そこで私、この記事を書きながら、ようよう考えてみました。

んで。思い出しました。
中国語です。

中国語で「あれは鏡です」は「那是镜子」と書くんです。

数年間勉強したきりなので、忘れてた(^^;)

禎嘉王のお姫さまは、高鍋町の宮田神社に祀られています。
(残念ながら、そちらにはまだお参りできていないのですが……)
近くには朝鮮半島とのつながりをうかがわせる大将軍神社もあり、もうひとりの主人公・飛胡を大男にしたのは、それに引っかけてのことだったりします。

イメージはラブソング!

登場人物と舞台が決まると、同時におおまかな話の流れも見えてきます。

私には当初から書きたいものがありました。

それは、大好きな槇原敬之さんのラブソングのような小説です。
ふたりの関係性が変わる、一瞬を切り取った小説が書きたかったんです。

……まあ、講評では「バディものとして面白い」との評価をいただいたのですが。

ただ、お互いのことを「相棒」と評する私たち夫婦ですから、そこらへんの価値観がにじみ出たんだろうと今は深く納得しております。創作って不思議でやっぱり面白いですね。

高鍋町鴫野

執筆中、夫氏と一緒に取材に行ってきました。
目的地は、作中にて那智と飛胡も訪れた高鍋町鴫野と蚊口浦です。

みさと文学賞フリークなら、蚊口浦は福智王の流れついた浜として有名ですね。
この浜と、禎嘉王の妻・之伎野しぎののお墓がある鴫野しぎのは、まさに目と鼻の先です。さらには之伎野を祀る大年神社も歩いて行ける距離にあります。

大年神社
大年神社由緒

私たちは神社にお参りし、墓前にも手を合わせてきたわけですが、ここで謝らなければならないことが……

拙者、イメージ優先で母上のお墓を、古墳っぽい「塚」にしてしまいました……

なお、こちらの写真が之伎野のお墓と伝えられているものです。

之伎野妃の墓の入口
之伎野妃の墓
之伎野妃の墓の由来

ちなみに、目と鼻の先にも、どなたのものかもわからぬ古墳があります。
(このあたりは前方後円墳も有する「持田古墳群」の一部になります)

懺悔せねばならぬことは、もう一件。
お墓の前に設置された案内板にもあるとおり、之伎野は息子・福智王と同じ船で流れつき、禎嘉王と再会したのちも伴に暮らすことはなく(それが当時の風習と思われます)、高鍋の地で生涯を閉じたと伝えられています。

そう、拙作『人ひとり』の人物配置は、完全な私の取材不足……!

深く深く額づいてお詫び申し上げます。ごめんなさい。

なお、私たちが訪れた日はちょうど、地元の方が御神幸(お祭り)の準備をされているところでした。
私たちはどうしても美郷町にばかり目がむいてしまいますが、高鍋町や木城町でも百済ゆかりの人々が大切に祀られていることがよくわかります。

比木大神寄せ処

続きまして。
こちらの写真は、線路を渡ってすぐの蚊口浦鴫野浜。
今年(2023年)は、この景色に触発されたお話を書く予定です。
(すこし長くなるので、残念ながら?みさと文学賞には出しません)

蚊口浦
蚊口浦

推敲、推敲、また推敲

原稿は、だいたい1カ月くらいで書きあげた記憶があります。
当時はNolaで執筆していました。スマホでもPCでも、同期しながら書けるので重宝していたのです。
(余談ですが、現在は有料ソフトのScripnerを利用しています。スマホでの同期・執筆はできませんが、そこはiPhone・Macの「メモ」で補っている状態です)

さて。
初稿ができたら、Wordで体裁を整えて印刷して、推敲です。
書きはじめの日付はわかりませんが、初稿~最終稿ができた日と応募日はわかります。

フォルダキャプチャ

『那智と飛虎』というのは仮タイトルです。
タイトルは応募直前に決めたんですね……(タイトルつけ、苦手なんです)

ひとつだけ混じっているPDFデータは、印刷用です。
これは、マスターのWordのバージョンが古すぎて「……」や「――」の縦書き表示が非対応となってしまったため、いったんPDF形式にして印刷するという苦肉の策です。

みさと文学賞は郵送ではなく、ホームページからWordデータを送信します。
応募される方は、ゆめゆめ勘違いめされぬよう……

閑話休題。

私の場合、みさと文学賞に応募するときは、たいてい4~5稿まで重ねます。
一般的に見て、これが多いか少ないか、私にはわかりません。
ただ自分としては、12,000文字以内の短編だからこそできることだよなぁと思っています
(10万文字の原稿を、3度も4度も印刷するなんて、とてもとても……(;´∀`)ム・リ♡)

Wordの体裁については、過去の記事を参考になさってください。

推敲用の用紙サイズですが、私はこのときくらいからA5判でプリントするようになりました。
きっかけは、貧乏性らしくコピー用紙やインクの節約……だったんですが、実際に半分のサイズにしてみると持ち歩くのにちょうどよく、くりかえし目を通すのに適していた次第です。

隙間時間だと、机やテーブルがないことも多いですしねえ~

推敲用

※一番下の第5校だけ、間違ってA4で印刷してます。やっぱりでかかった……

ほいで、こっちは初稿の表紙に書いたメモ。
構成を含めての推敲については、また後日書きたいと思ってます。座して待たれよ!

初稿表紙のメモ帳

ちなみに。

『姫さま、家を出る』の応募日は、11月22日の「いい夫婦の日」だったりします!
作者としてのささやかな願掛けです。(/・ω・)/ トドケー

結果発表、贈賞式、そして講評

令和4年3月20日(日)、第4回みさと文学賞の審査結果発表と贈賞式が行われました。

当時の動画はまだYouTubeで見られるのですが……ふふふ、見たい人は自分で探してください。
ウッキウキでニッコニコしている私の顔が見られます。
(だからなんだって感じですが)

なお授賞式では、審査員の先生方の講評や、審査の過程や雰囲気をうかがわせるコメントを、短いながらも聞くことができました。

これは……かなり嬉しかった……!

第5回は、第1回ぶりのリアルでの開催でしたね。
私はほかの受賞者の方とお会いしたこともないので、それだけ少しうらやましいです(*´ω`*)

第4回短編集は、Amazon等でお買い上げいただけます!

拙作『姫さま、家を出る』が収録された『第4回「西の正倉院 みさと文学賞」作品集』は、Amazonや楽天ブックスで購入できます!
もちろんお近くの書店からお取り寄せすることもできますので、まだの方はぜひどうぞ!

最後になりますが、審査員長の中村航先生(作家)の総評から、拙作についての評価を引用してご紹介したいと思います。

「姫さま、家を出る」はバディものとして楽しく読め、ラストに向けては感動的な小説だった。文章力も高く、ともかくキャラクターが健気で魅力的だ。タイトルも良い。

『第4回「西の正倉院 みさと文学賞」作品集』p.7

ドヤアアア!!!(品がない)

審査員の先生方、毎年懲りずに応募していた私の作品を読んでくださり、本当にありがとうございました。(また出します)

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

「読んだよ!」と教えてくれると嬉しいです。
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